絶望の国の幸福な若者たち(古市憲寿)
本のタイトルがとてもキャッチーなので、記事タイトルにそのまま引用してみました
近々の更新予定には入れていなかったのですが、先ほど読了したところ、とても衝撃を受けたので今回はこの本について書きます
どんなテーマを扱っているの?
世代間格差、非正規雇用の増加など多くの問題に直面している一見不幸な「若者」
しかし、その彼らの実に8割が生活に「満足」しているという
「多くの困難に相対する若者、しかし彼らは幸福である」
この指摘に沿って現在の社会の「若者」についての考察が展開されています
膨大なデータや文献を用いているので、非常に説得的な文章が徹頭徹尾並んでいる
著者がされているであろう不断の努力を強く感じました
読むのをオススメしたい人は?
- 自分が今感じている「幸せ」の正体、その一端を知ってみたい人
僕もこの本でいう「若者」に該当します
そして僕も今の生活にはある程度の満足感を覚えています
「若者」は何があると幸福なのか
思わず「なるほど」と膝を叩いてしまうくらいに理路整然とした文章で、それが表されています
あと個人的には、自分の生き方を肯定された気分になりました
前向きになれる本!
魅力的なポイントは?
社会学に関する内容なので、テーマの印象は堅めだと思います
しかし、崩れた口調、ウィットに富んだ愛のある皮肉が随所に散りばめられており、非常に楽しみながら読める
クスッとなる瞬間が何回もありました
そんな魅力的な文章が平易な表現でわかりやすく、かつ説得的にテンポよく進んで行く
純粋に読み物としてとても面白い
社会的なテーマに関心がなくとも、文章から伝わる古市憲寿という人物の魅力に引きずられる形で読み進めれてしまうはず!
というくらいに魅力を感じました
古市さんのユーモア的センスが特に活かされているのは脚註だと思う
なんだかこの記事、暑苦しいんだけど...
それは僕が
「古市さん、好きだ!」という思いから
勢いに任せて書いているからです
冒頭で述べた読後の衝撃とは、「この人大好きだ!」と感じたことなのです
テレビなどでは毒舌などで場を凍てつかせることもあるようですが(笑)、著書からは一貫して人に対する愛情を感じました
最後に、その人柄、ユーモアなど、個人的に古市さんの魅力を特に強く感じた記述を紹介
ここを際立たせるために記事の中で本文の内容に深く踏み込んでこなかった、と言っても過言ではない(笑)
古市憲寿という新進気鋭の社会学者に魅力を感じた方、ぜひ読んでみてください!
こんな教科書みたいなまとめをしていいのか不安になるが、頑張っている人にケチをつけるのをやめるくらいには大人になってしまったので仕方ない。(脚註より)
ちなみに僕は日本で何か重大な問題が起こったらさっさと逃げ出そうと思うくらいにはナショナリストではないが、本書のように日本の問題について延々と書いてしまうくらいにはナショナリストである。 (脚註より)
(佐藤)健くんが大切にする、仲間との小さな幸せ。そういう価値観が若者の間で広がっていること。それはちっぽけかも知れないけど、大切な「希望」のような気がしている。(俳優・佐藤健との対談より)
正直、出会ったことがない、行ったことがない、見知らぬ人や物や場所のことは「どうでもいい」と思っている。
そんな僕の想像力が及ぶ範囲といったら、せいぜい「自分」と「自分の周り」くらいだ。(あとがきより)
僕は「自分」が一番大切な人間だが、隣にいる人が苦しんだり、困ったりしているのを見過ごせるほど、心が強くもない。「自分」が幸せになるためには、「自分のまわり」も幸せであって欲しい。
だから、「自分のまわり」が変わるにつれて、「社会的」なことを考える機会も増えた。(あとがきより)
あぁ、とっても好きだ...